将来の車載システムの要求を実現する為、省スペースの組み込みエッジストレージや取り外し可能なストレージを、さまざまな利用形態に合わせて提供しており、さらに車から収集される大量のデータを記録、分析するデータセンターソリューション等、車載システムからクラウドに至るまで、ストレージ製品の幅広いポートフォリオを用意しています。
車載型 Event Data Recorderは記録された情報から衝突前後の自動車の挙動を客観的に分析して、交通事故後の処理を迅速に行うことを可能とします。車載型ストレージ・デバイスの登場により、大容量の情報を自動的に、安全に、長期間、フラッシュメモリー内に記録することが可能となります。
Event Data Recorderではイベント記録動作と常時記録動作が行われ、長期間のデータ保持が要求されます。イベント記録ではランダムデータを高速にかつ安全に記録する必要があり、データの書き込み遅延による情報の損失を防止するため、高速なデータ記録とデータ保持機能を可能とするSLC キャッシュ搭載のデバイスの選択が考えられます。常時記録では車両の動作に関係なく連続して映像を記録することで過去に遡って記録データ利用することが可能となります。強力なエラー訂正機能によって保護された大容量デバイス、デバイスの状態を常時監視し必要に応じてデータを自動的にリフレッシュする機能を搭載したデバイスの選択が考えられます。
インフォテインメント(Infotainment) とは情報(Information)と娯楽(Entertainment)を組み合わせた造語で、車載インフォテインメント(In-Vehicle Infotainment) とは、自動車に情報と娯楽を提供する技術です。カーナビゲーションやマルチメディア再生機能といったものがそれにあたり、地図、動画、音楽といった様々のデータの記録と再生が行われます。
車載インフォテインメントのデータ記録用のストレージとしては機器に内蔵された組み込みフラッシュドライブや脱着可能なリムーバブルメモリーであるSD カード等が利用されています。
車載インフォテインメントというアプリケーションの特色上、地図、動画、音楽のような情報ソースは更新頻度が高くないことが想定されるため、ストレージに対する書き込み頻度はそれほど高くなく、読み込みが主となります。このため、読み込みに対する耐性(Read Disturb耐性)が重要であり、高温・低温での幅広い温度域での動作保証、自動リードリフレッシュによるデータ保護機能を有したストレージを選択することが重要となります。
高精度Auto Locator に用いられる高精度地図は従来のHDマップとは異なり3D地図が検討されデータ容量が大きくなるため、大容量ストレージの使用が想定されるとともに、従来の地図データとは異なりインフラストラクチャからデータが逐次更新されるため、書き込み頻度が上がることが考えられます。
但しサービスカード用途においては、自動車が走行する範囲が限定されるため、そこまで地図データが大きくならない可能性もあります。
また、自動車の位置把握にはリアルタイム性が求められるため、高パフォーマンスのエッジデバイスが使用されることが考えられます。また高精度地図データと自動車位置把握情報を合わせて、自動運転システムにフィードバックを行うことが考えられます。このため、強固なECCの搭載などに裏付けられる高いデータ信頼性、UFS のような高速インタフェース、高精度地図データ格納に対応可能な大容量といった特徴を持ったストレージの選択が考えられます。
デジタルクラスターは従来のクラスター(メーターや各種スイッチなどが集まっている場所)が表示する車速や燃料の残量、エンジンの状態などの基本情報をデジタルディスプレイ表示にするとともに、車載カメラやセンサー、レーダーなどの車外からのデータを表示可能にする技術です。自動車のグレードに合わせた表示レイアウトやユーザーによって表示レイアウトを変更することが可能となるため、複数の情報ソースを事前に設定しておくことが必要となります。
ストレージに格納されるデータは更新がほとんどない、概ねプリセットされる設定と考えられます。Read Onlyとして使用されることが想定されますが、長期間のデータ保存(DataRetention特性)及び読み込み耐性(Read Disturb耐性)がストレージ要件となります。また、車内の高温環境下での動作に対応するデバイス、デバイスのSLC化による、Data Integrityの向上および自動リードリフレッシュ機能によるデータ保護などの高度な機能を持ったストレージデバイスの選択が考えられます。